開発者インタビュー

  • 沖田 寿一
  • 佐久間 英二
  • 勝亦 俊

ブラインドの「チャイルドセーフティ」の取り組み

開発本部

取締役本部長 沖田 寿一

統一した安全基準が必要となった背景

近年、ブラインドのひもやカーテンのタッセルなどに小さいお子様が絡まって事故が起こったという情報があり、東京都商品等安全対策協議会では2013年10月からアンケート調査や事故再現実験を実施し、協議を行ってきました。
その結果、2014年2月に、国・業界団体に対して「統一基準等の策定による安全対策の徹底」などの提言がなされました。

これまでも、コードに荷重がかかると外れる「セーフティジョイント」や、お子様の手の届かない位置でコードやチェーンを束ねることができる「コードクリッパー」といった安全部品を各社で製品に同梱してきましたが、残念ながら基準が統一されておらず、また一般ユーザーまで使い方が浸透できていないという課題がありました。
そこで東京都の提言を受け、当社が参画する日本ブラインド工業会でも、統一した安全基準が必要だということで議論が始まりました。

安全基準の策定プロセス

ブラインド類には各社様々な機種があり、そのすべてでチャイルドセーフティに対応するのは困難です。ですから、まずは住宅向け製品を中心に基準を設けようということになりました。

基準作りにあたっては、独立行政法人 産業技術総合研究所(産総研)に協力をいただきました。東京都のアンケート調査をもとに、一番事故の多い生後6カ月くらいから6歳くらいまでを対象にすることとし、子どもの頭の大きさや身長、体重などのデータを参考にしながら、現行製品の危険性を具体的に検証し、既存のセーフティジョイントが外れる荷重の測定などを行いました。また、試験方法の統一も図りました。

現在、日本ブラインド工業会では、住宅向け製品を対象にパンフレットや取扱説明書などに記載する文言・イラストなどの統一も行っています。また、当社はすでに実施していますが、コードクリッパーを製品に取り付けて出荷するなど、2015年6月以降の統一基準の実施に向け各社準備を進めているところです。

しかし、「住宅向け製品」といっても対象範囲をどこまでにするかは、メーカーとしても悩ましいところです。ビル用の商品を家庭で使う場合もありますし、店舗などはどう対応するかといったこともあります。現在はできるところからの対応となりますが、商品が最終的にどんな場所へ取り付けられるか、すべて把握するのは困難で、今後も議論を深めていかなければならないと考えています。。

ニチベイのチャイルドセーフティの取り組み

ニチベイでは従来からセーフティジョイントやコードクリッパーの搭載を進めてきたため、業界基準への対応はスムーズに進んでいます。 しかし、仮に安全部品を製品に取り付けていても、正しく使っていただかなければ安全を確保できません。そのため、お客様や販売店、インテリアコーディネーターの方々への周知によりいっそう力を入れていかなければと考えています。 また、ニチベイではコードやチェーンのない商品や、ループを形成しないような操作方式も商品化しています。しかし、コードやチェーンがないと高い窓で操作がしづらかったりすることもあり、チャイルドセーフティに対応した操作方法については今後もさらに研究開発を重ねていかなければならないと感じています。

「安全を意識しなくても安全に使える商品」を目指す

お子様は思いもよらない行動をとることがありますし、そもそも「安全とはどういうことか」が理解できません。また、ご家庭ごとに生活環境も異なりますから、安全に配慮するポイントも変わってきます。
ですから、メーカーとしてはあらゆる場面を想定して、意匠性や機能性を損なわないで「安全を意識しなくても安全に使える商品」を目指す責務があると考えています。
それは一足飛びに実現できるものではありません。まずは業界の統一基準に基づいて、商品を正しく使っていただくことをお願いしていかなくてはと思います。

また現在、海外の規制なども調査しながら、チャイルドセーフティ関連のJIS化に向けた議論も進めています。 日本の住宅事情に合わせつつ、広く活用していただけるような基準にできるようにこれからも取り組んでいきます。

ニチベイの商品開発の今、そしてこれから

開発本部 商品企画部

部長 佐久間 英二

商品開発の基本方針

ニチベイでは、「3K(環境・健康・高齢化)+S(省エネ)」を商品開発理念としています。近年では、もうひとつのSとしてセーフティ(安全・安心)を加えています。 安全・安心については社会的にも重要なポイントとなっています。すべてのものに共通の前提として安全・安心を担保し、その上で「3K+S」を実現していなかければならないと考えています。

省エネデータの蓄積と活用

省エネに関する取り組みは、地球温暖化などの社会情勢を背景に、2008年ごろから本格的にスタートしました。自社商品の省エネに関するデータを蓄積し、2009年からは、その性能や特性などを学会でも発表をしています。ゼネコンや大学などと共同で研究発表することも多く、使用者・生産者・アカデミックが一体となって研究を重ねることで、相乗効果を生んでいると感じます。
近年はビル建設などにおいて、計画段階からブラインド類を含めた省エネに関する検討が行われています。蓄積したデータや解析力を活かして、計画段階でゼネコンや設計事務所などをサポートできるというのが、ニチベイの強みとなっています。

遮熱性能計算・試験方法の規格化

ニチベイでブラインドの省エネデータを販促物等で公表して以降、業界内でも自社商品の省エネデータを公開するようになってきました。しかし、それぞれのデータの条件が異なったり、誇大広告を行うなど、お客様が商品を選定する過程で公平に比較できないという状況に陥ってしまいました。
2011年の東日本大震災以降、省エネ・節電への注目がさらに大きくなり、ニチベイも加入している一般社団法人 日本インテリアファブリックス協会では、カーテン・スクリーン類の遮熱性能の基準作りをスタートし、一定以上の遮熱性能と採光性能をもつ生地に「遮熱マーク」を付けることができるようになりました。

また2011年から窓の遮熱性能計算方法のJIS原案作成委員会がスタートし、私も窓の日射遮蔽物を担当する委員として3年間参画し、2014年4月にJIS A2103(遮蔽物を含む窓の日射熱取得率計算方法)が制定されました。
これにより、国内でブラインドやロールスクリーンなどの遮熱性能を公平に評価できるようになりました。 また、この規格をISOやASEANに提案するなど、グローバルな展開も始まっています。

日本における展望

日本では東日本大震災以降、窓の遮熱については一定の理解が広まったと感じています。これからは「光のコントロール」が重要なテーマになると私は考えています。
光をやみくもに部屋に入れるだけではまぶしいだけですし、また、子どもと高齢者ではまぶしさを感じる尺度が異なります。そういった状況を踏まえ、心地よさ・快適性を実現する光をブラインドでコントロールする方法を、科学的に考えていきたいと思います。

また、商品の使われ方も変化してきました。メーカーとしては住宅用と考えていた木製ブラインドがオフィスで使われたり、ビル用として提供していた高機能商品を住宅に設置するケースも出てきました。加えて、住宅の性能の向上と様式の変化から、大空間や吹き抜けのある住宅ではロールスクリーンなどが仕切り用途で使われるといった多様化も起きています。こうした動きを商品開発にも反映していく必要があると感じています。

さらなる進化を続けるために

一方で、これからは海外にも目を向ける必要があるでしょう。日本では少子高齢化や人口減少の影響などから住宅を始め需要低下が進みますが、特にASEANをはじめとする新興国では、空港や鉄道などのインフラ整備が進み、建設需要が増えるためチャンスは多いと感じます。
建物には文化の違いもあり、すぐに日本製のブラインドが定着するという状況ではありませんが、新興国などが10年後・20年後に描くビジョンを見据えながら根気よくチャレンジする必要性を感じています。
また、縮小する国内市場は競争がますます激しくなります。住宅や建築物の窓まわりにとらわれず、新しいターゲットや新しい価値を創造するチャレンジを繰り返すことが、今後のニチベイを支える大きな柱に成長することを夢見ています。

産官学の取り組みや海外の視察などから、日々たくさんの刺激を受けています。
それらを活かし「進化に限界はない」ことを胸に刻んで、省エネで、快適で、癒されて、おしゃれで、体にいい、そんな商品を作っていきたいと思います。
商品は今、「モノの時代」から「コトの時代」を通り過ぎ、感動の時代と言われてますが、常にお客様の笑顔や喜ぶ姿を想像しチャレンジを続けるニチベイでありたいと思います。

「LASCOM-Nichibei WEB」で広がる商品選びの選択肢

開発本部 商品企画部

課長 勝亦 俊

「省エネ・環境」視点での商品選びに応える

ニチベイのブラインドは、一つの種類でも数十から数百の色柄・タイプがあります。これまでお客様は、その中から「デザイン・色柄・機能性」、そしてそれに見合った「価格」で商品を判断してきたといえます。
しかし東日本大震災以降、「省エネ」「節電」「環境」に配慮した商品選びという動きが一気に加速し、商品を提供するメーカーからもそういった提案をしていくことが必須になってきました。 そこで、お客様の商品選択への情報提供の一つとして2012年秋に、省エネシミュレーションプログラム「LESCOM-Nichibei WEB」をニチベイのWebサイト上で公開しました。

LESCOMとは、東京理科大学の武田仁名誉教授が開発した建物の熱負荷計算プログラムです。これに、ブラインドなどの遮蔽物の影響を考慮できるよう、武田教授とニチベイで共同開発をしたのが「LESCOM-Nichiebi」です。
これまでは、主に販促物等に掲載するデータや、個別の案件にシミュレーションを提供するために社内で使っていましたが、お客様の商品選択の一助にもなるのではと考え、Webサイトで公開することになりました。

シンプルで使いやすいシステムを目指して

もともとのLESCOMをはじめとした熱負荷計算プログラムは、非常に難しいものです。建築の専門家が、壁の厚さや断熱材などのさまざまな要素を考慮し、時間をかけて設定を行った上で結果が出ます。

しかし、ニチベイのWebサイトをご覧いただく方は、必ずしも建築の専門家ばかりではありません。「どちらの商品が省エネ効果があるの?」「電気代の差はどのくらい?」といった疑問に、極力選択肢を減らして簡単に、短い時間で答えられるよう、シンプルなものが目標であり、そこに多くの時間を割きました。
その結果として「操作方法がわかりやすい」という好評をいただいています。

お客様の充実した窓まわり環境を実現するために

一方で、「選択できる製品の種類が少ないので増やしてほしい」「複数のシミュレーション結果を比較できるようにしてほしい」「『こんな窓にはこんな商品』という使い方を提案してほしい」といったご要望もいただいています。 こうしたお声に応えていくのは、わかりやすさの追求と相反する部分もあるのですが、それをきっかけに弊社の商品をより詳しく知ってもらい、もっと具体的な提案につなげていけるようにしていきたいと考えています。 つまり、「LESCOM-Nichibei WEB」で省エネ効果を確認して、商品を検討し、価格・デザイン・機能なども踏まえて納得してご購入いただき、電気代や暑くない・寒くないといった部分で体感をしていただく。その流れがうまくつながるのが私たちの理想です。 そのためには、計算できる製品の種類を増やしたり、複数のシミュレーション結果をわかりやすく比較できるようにするなど、使い方の提案につなげられるようにWebサイト上での改善にも取り組んでいきたいと思います。 また、2014年4月にはJIS A2103(遮蔽物を含む窓の日射熱取得率の計算方法)が制定されました。これは省エネの性能の中の指標の一つではありますが、業界統一の公的な基準が制定されたことになります。計算方法は難しいですが、この指標にもWebサイト上で対応できるよう、検討していければと考えています。

さらなる進化を続けるために

一方で、これからは海外にも目を向ける必要があるでしょう。日本では少子高齢化や人口減少の影響などから住宅を始め需要低下が進みますが、特にASEANをはじめとする新興国では、空港や鉄道などのインフラ整備が進み、建設需要が増えるためチャンスは多いと感じます。
建物には文化の違いもあり、すぐに日本製のブラインドが定着するという状況ではありませんが、新興国などが10年後・20年後に描くビジョンを見据えながら根気よくチャレンジする必要性を感じています。
また、縮小する国内市場は競争がますます激しくなります。住宅や建築物の窓まわりにとらわれず、新しいターゲットや新しい価値を創造するチャレンジを繰り返すことが、今後のニチベイを支える大きな柱に成長することを夢見ています。

産官学の取り組みや海外の視察などから、日々たくさんの刺激を受けています。
それらを活かし「進化に限界はない」ことを胸に刻んで、省エネで、快適で、癒されて、おしゃれで、体にいい、そんな商品を作っていきたいと思います。
商品は今、「モノの時代」から「コトの時代」を通り過ぎ、感動の時代と言われてますが、常にお客様の笑顔や喜ぶ姿を想像しチャレンジを続けるニチベイでありたいと思います。