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SPECIAL INTERVIEW

ホテルをつくるレシピ
譲れない「ホテル」ブランドの想いを忠実に具現化できる
パートナー企業との強固な信頼関係

クロスリンク 紙透大悟×ニチベイ 芝地良壽
Text:Fukuko Hamada

ホスピタリティ業界において重要な要素である FF&E を含む P.A(Purchasing Agent:調達代行業務)全般を行なうクロスリンクは、ホテルオーナーおよびオペレーターの視点に留意しながら、ブランドポリシーを具現化したホテルづくりをアシストしてきた。一方、2021年に創業80周年を迎えた窓まわり商品と間仕切りの総合メーカーニチベイは、長年取り組んできた省エネに貢献する商品づくり、環境に配慮したものづくりといった活動が認められ「SDGs サスティナビリティ活動」が各自治体で評されており、新設だけでなくリノベーションの商材としても選ばれる理由にもなりつつある。
近年両社がタッグを組む、新規グローバルホテル案件が増えている。ブランドのコンセプトを受け止めながら表現していく双方には、「ニーズを超える仕上がり」を追求したいという想いが醸成されていた。
そこで今回、クロスリンク代表取締役の紙透大悟さんとニチベイ法人営業推進部担当部長の芝地良壽さんが共創するホテルづくりについて伺いました。

クロスリンク株式会社
代表委取締役

紙透 大悟
Daigo Kamisuki

PROFILE > 2013年、主に外資系ラグジュアリーホテルやライフスタイルホテルを中心としたPA業務を行なうクロスリンク株式会社を設立。現在9期目となる。PA業務を専門とした会社は珍しく、これまで数多くのホテルの立ち上げに携わり、今後も続く日本でのラグジュアリーホテル開発案件を多く手掛けている。日本が本当の意味での観光先進国となることを後押ししたいとチーム一丸となりプロジェクトを進行している。

PROFILE > 2013年、主に外資系ラグジュアリーホテルやライフスタイルホテルを中心としたPA業務を行なうクロスリンク株式会社を設立。現在9期目となる。PA業務を専門とした会社は珍しく、これまで数多くのホテルの立ち上げに携わり、今後も続く日本でのラグジュアリーホテル開発案件を多く手掛けている。日本が本当の意味での観光先進国となることを後押ししたいとチーム一丸となりプロジェクトを進行している。

ホテル好き、旅好きの集団が
ユーザー目線でホテルオーナーに提案

P.A(Purchasing Agent:調達代行業務)としてのクロスリンクの特徴やポリシーなどを教えてください。

紙透 弊社の強みは、「ホテル好き、旅好きのスタッフしか採用していない」ことでしょうか。ほかのインテリアデザイン会社などと異なり、弊社はデザイン・建築系の出身者は半数で、元ホテルマンや備品サプライヤーなど、異なる業種のスタッフを積極的に採用しています。ホテルはデザイン優先で作ると、写真映えはしますが、実は使いにくい、作業動線もよくないということが起こりがちです。そのため、ユーザー目線でのタッチ(触り心地)や居心地、匂い、アメニティの選択などが実は重要だと考えています。オーナーに対してもホテルを使う立場からの提案ができ、クライアントのお金を有効活用しながら、建築家やデザイナーと調整できる人材が大きな強みですね。さらにはスタッフの作業動線やメンテナンスまで提案できるのが大きな特徴ですね。

外資系ラグジュアリーブランドの初上陸の案件が多いですね。

紙透 初進出のブランドを整えるケースが多いですね。現在、20件ほどの案件が進行中ですが、そのうち10軒くらいは新ブランドです。新規は手間が多く時間も費用もかかるので割が合わないと思いますが、弊社はその手間暇はあまり考えずに、生みの苦しみを楽しんでいる…からできるんだと思います。ゼロから調整しながら作りこむので本当につらいのですが、社風でしょうか、それでも食らいついていきますね。その分、出来上がったときの喜びが大きいですね。積極的にゼロに「挑む」ことで、私たちの力量も培われていくととらえています。
起業して、5~6年は大きな案件は取れないと思っていたのですが、2年目くらいに東京會舘のリニューアルの案件を受注できたのが、初の大型案件でした。その後オペレーターやデザイナーから推薦していただいたこともあり、アマン京都やパーク ハイアット 京都といったスモールラグジュアリーなホテルを手掛けることができました。次第にデベロッパーにも認めていただけるようになりました。

W 大阪

マリオット・インターナショナルが展開する ラグジュアリー・ライフスタイルブランド「W(ダブリュー)」の日本初となるホテルとして、2021年3月16日、大阪・心斎橋にオープン。全337室。建物外観のデザイン監修は大阪出身で世界的建築家の安藤忠雄が担当。「大阪商人の遊び心」というテーマを、ポップで華やかなインテリア装飾の内装と、ミニマルな外観とのコントラストで表現している。

  1. 「Oh.lala...(オーララ)」は160席のブラッセリー。シースルー生地のロールスクリーンはビルの照り返しを和らげる
  2. ロールスクリーンと照明の演出が秀逸な「バンケット」は多目的に利用されている
  3. W 大阪のソーシャルハブとして象徴的な「LIVING ROOM」があるW階(3階)には、フロント機能とバー、ラウンジ、ブラッセリーなどが。窓には14台のロールスクリーンが連なる

ニチベイも窓まわりインテリアメーカーとしては、ホテル案件が多く、近年は特に日本初上陸の外資系ホテルへの採用実績が多いですね。

芝地 昔のホテルはドレープのカーテンが主流で、我々はカーテンレールを持っていなかったことから、かつては客室に納めることはとても少なかったと思います。ホテルに参入し始めたのは、宴会場のスライディングウォールといった間仕切り商品からでした。ホテルのバブル需要期の2006年ごろ外資系ホテルの上陸が続いたころから、次第に広い眺望重視の窓へと考え方が変わってきたように思います。そのため、ローマンシェードが採用されるようになりました。さらに、インバウンドが増えたことにより、ブラックアウトの要望が高くなり、窓ガラスは床に突きつけという設計上のデザインもあって、現在は光漏れ対策をしたロールスクリーンが人気です。

紙透 そうですね、ここ十数年でブラックアウトを求めるホテルが増えて来て、ロールスクリーンが窓まわりの主流になってきました。これはインバウンド増が影響していると考えます。
外国人は部屋を真っ暗にして安眠を確保したいというニーズがあるからです。この傾向はさらに続くと考えます。2024~26年の開業予定の現在進行形の案件は、ロールスクリーンが主流ですね。中には、遮光をロールスクリーンで機能させ、インテリアとしてカーテンを採用する使い方に戻ってきているという実感もありますね。ドレープでもボックスの形状やボックスの中の構造を変えたり、カーテンの袖を伸ばしたりなど、改良もされてきています。

設計の段階からサプライヤーが一緒に空間をつくり込むことはよくあるのでしょうか。

紙透 そうですね。ニチベイさんに限らず、図面の段階から情報提供してくれるサプライヤーさんはありがたいですね。図面の段階で提案すれば可能なことも、実際に建築が始まってからは不可能になってしまうことも多々あります。また、オーナーに説明する際に、メリットもデメリットも知ったうえで提案し、納得して採用・不採用の判断をしてもらうことが重要なので情報の共有はとても大切なことだと思います。発注側とサプライヤーのどちらが優位とかでもなく、対等な立場でありたいなと思っています。提示された金額だけではない、心意気というか、フレキシブルに動いてくれる相手に発注したいなという気持ちにもなりますね。

芝地 こちらも採用が決まって納品すればいいというわけではなく、メンテナンス含め、運営側の立場になっての提案が必要だと考えています。さらにデザイナーのご要望にどれだけ応えられるか、こうした対応力が強みかなと捉えています。専門メーカーの知見を生かした適切なアドバイスができる、良きパートナーでありたいと心がけています。

両社が携わった案件で、特徴的なエピソードはありますか。

紙透 W Osaka は図面の段階から、窓幅に合わせてのご提案をいただきました。窓幅が広いためそれに合わせてフレキシブルなやり方の提案をしていただきました。設計だけでパースで進めてしまうと、本来できたことができない」とみなされてしまうのでとても大事ですね。

芝地 設置や施工だけでなく、機能プラスデザインが必要だと思っています。アロフト 東京銀座やアロフト 大阪堂島のように、デザイナーさんがデジタル化したアートや文字をデータ化することで、遮光ロールスクリーンにプリントすることが可能になります。よりインテリアに近い存在となりますね。ただ、交換が容易でないことが課題でもあり、既存商品の改善改良や新しい提案は常に研究開発しています。

紙透是非、期待したいです。

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