開発生産本部 生産技術部 生産技術課
S.M
治工具類の設計や導入、メンテナンスが私の主な仕事です。「治工具」とは、商品の製造工程において、加工や組立てなどの作業を補助する器具や設備のこと。小さなところでは、ただの物差しをとある商品に使う部品の長さを測るためだけにカタチやサイズを改良したり、大きなところでは何百万円するような設備機器の導入手配などを行ったりしています。
目的は現場で作業する人が作業しやすい環境を整えていくということですが、そのためには、現場で作業する人たちの「声」が大切です。「普段どんな作業をしているのか」「何が必要なのか」「何に困っているのか」などをしっかりとヒアリングして、作業を想像しながら治工具を作っていきます。
生産設備の向上が生産効率や商品のクオリティ、ひいてはニチベイのブランド力につながるので、私の仕事は重要なポジション。品質や生産効率への影響に気を使いながら、商品をつくる環境を整えています。
全体の設備導入だけでなく、作業者一人ひとりに合わせて治工具を考えられるところですね。例えば、作業机をオーダーされた場合、高さは作業者の身長に合わせて設計し、利き手やくせなどを考慮して机の幅や物を置くためのスペースまで考えていきます。
よい治工具を作れば、「ありがとう」と感謝され、ちゃんと使ってもらえる。信頼されれば作業者の方から指名で治工具作成の依頼が入ることもあります。逆に良くない治工具を作った場合、その治工具はいつの間にか使われなくなってしまいます。
「生産性」という数値上の目標があるのでそこはもちろん重要ですが、「使ってもらえる or 使ってもらえない」という身近でわかりやすい結果が、私の仕事へのモチベーションになっています。
前職でも今と同じ「生産技術」の仕事に従事していました。でもそのときは、私が思う生産技術――作業者の方の働きやすさ、作業のしやすさを考える仕事――とは違っていました。
私は「生産技術」という言葉は会社によって解釈や定義が異なると考えています。広い視点で言えば「効率的に製品を生産するための技術や方法を考える」ことですが、工務課のような機械メンテンスも生産技術ですし、ISO関連も生産技術とされています。
そういう意味でニチベイの生産技術は、作業者の方と直接コミュニケーションを取りながら働きやすい環境で、とても魅力に感じましたね。「治工具」という言葉もそのとき初めて知りましたが、調べる中で私の興味関心に拍車をかけました。治工具の設計にはCADを使った図面製作が必要になるのですが、やってみたいという気持ちが勝り、未経験で飛び込みました。
ニチベイには、いろいろな分野のいろいろな人材の知恵と技術が集まり、ブラインドという商品が作られています。私も他業種からの入った人間の一人です。面接では、「CADを使ったことがない未経験者」であることをはっきり伝えましたが、採用してもらいました。きっと、ポテンシャルや将来性を見込んでもらったんだと思います(笑)。いろいろな考えや技術、視点をもっている人がいる方が活性化するからでしょう。
また技術者でありながら、設備投資など大きなお金を動かせるところも面白いところ。技術を追求するだけでなく、もう少し大きな視点で物事を見たり動かしたりできる、魅力的な仕事ができる会社だと思います。