
光を操る窓まわりの多彩な技巧が
新宿の新ランドマークからの眺望を引き立てる

これまでに出会ったことのない東京の風景に出会える

東急歌舞伎町タワーの39〜47階を占めるのが「BELLUSTAR TOKYO,A Pan Pacific Hotel」だ。今日のホテルステイは、まず、モダンフレンチ「Restaurant Bellustar」のランチからスタートする。
チェックインには少し早い昼前に訪れ、エレベーターで18階へ上がり、レセプションを通り抜けた先のエレベーターで45階へ。レストランのスタッフに案内され、オープンキッチンの脇を通り抜けると、その先に広がっていたのは、天井高13mの圧倒的な空間。
現代美術家・大巻伸嗣氏の新作アートや、現代建築の巨匠ノーマン・フォスターが手掛けた家具が配された、唯一無二のメインダイニングである。
巨大な噴水をイメージしてデザインされた東急歌舞伎町タワーは、躍動する水を表現するために窓の角度を変化させて光の反射をコントロールしている。ガラス部分には水の波型の模様が施され、まるで噴水の内部から見た水しぶきのように感じられる。シースルー生地のロールスクリーンがその窓の角度に沿うように連なり、高さ約200mからの抜群の眺望を損なうことなく、陽射しを和らげる。
席に着き、これまでに出会ったことのない東京の風景に目を奪われながら、味わうのはフレンチの伝統と文化を守りながらも日本各地の素材にこだわった料理。その土地の風土を表す食材と器が、旅先への期待や旅の思い出を想起させる。

煌めく夜景を一望できる「Bar Bellustar」。電動ロールスクリーンならボタン一つで一斉操作も可能

昼の時間帯には富士山を見ながら食事を愉しめる「鉄板 天佑」。光漏れを防ぐために前後に重なるよう備えたロールスクリーンは、裏面にアルミ蒸着加工を施した遮熱性の高いシースルー生地
日本の美しさを象徴する“花鳥風月”から名付けられたペントハウス

食事を終えて45階の客室へ。全97室の中でも特別な5室であるペントハウスの一つ、「tori 鳥」に滞在する。日本の美しさを象徴する“花鳥風月”から名付けられたこの客室はホテルで2部屋しかないメゾネットタイプで、186㎡の広さがある。
ドアを開けて中に入ると、まず明るい色味の天然木や漆喰が醸し出す心地よい雰囲気に包まれる。さらに歩みを進めると、迎えてくれるのは2層吹き抜けの開放的なリビングと、広くとられた窓からの眺め。
ソファで寛ぎながら東京のランドマークを眼下に望む、贅沢な時間を過ごす。飽きずに窓からの眺めを愉しんでいると、ふと陽射しが気になり、リビングの壁面パネルで電動シェードを降ろす。シースルー生地が眺望を邪魔することなく、陽射しを和らげてくれる。そのまま窓辺に佇み、日が暮れてゆく空の微妙な色の変化を感じる。そして次第に街の明かりが灯ってゆき、時と共に移ろう摩天楼の眺めを堪能できる。

「tori 鳥」のベッドルームには、静音性に優れた電動カーテンレールを採用
吹き抜けのリビングから階段を上がりベッドルームへ。美しい東京の夜景を存分に味わったら、ナイトパネルのスイッチで遮光カーテンを閉め、寝心地のいいベッドでぐっすりと眠る。翌朝はベッドに身を横たえたまま、スイッチを入れると、静かにカーテンが開き、また新しい朝の光と景色を届けてくれる。

ペントハウス宿泊のゲスト専用に設えられた「PENTHOUSE Lounge」。シースルーのシェードを通して柔らかい光が差し込む

最上層にあるペントハウスの一つ「tsuki 月」。レジデンスのような温かみと心地よさのある空間が広がる
※この記事は、「週刊ホテルレストラン」第58巻31号に掲載された原稿を再構成したものです。