当社では、閲覧性向上などを目的としてクッキー(Cookie)を使用しています。本サイトの閲覧を継続することでクッキーの使用に同意したとみなされます。詳細はサイトポリシーをご覧ください。

We use Cookies to improve browsing experience and for other purposes. By continuing to browse this site, you accept the use of Cookies. For more information, please see our Site Policy.

同意するAgree

空間の体験価値を高める商品の提案力と
ロールスクリーン「ソフィー」の魅力

2022年7月に開設された、新潟県三条市の複合施設「まちやま」。総合設計を隈研吾建築都市設計事務所が担当し、ニチベイのロールスクリーン「ソフィー」が導入された

空間の質を左右する窓辺や間仕切りのデザイン

商業施設やオフィスなど、さまざまな建築、インテリアデザインの在り方が変化する中で、光や空気感といった表現を上手く採り入れ、空間の広がりや緩やかなつながり、明確なゾーニングを計画しているプロジェクトが増えてきている。また、住宅においても、在宅する時間が長くなり、一つの空間に留まるなかで、大きな窓や開口部から外の雰囲気を採り入れて、心地良く過ごしたいというニーズも少なくない。
それら内部と外部の関係性を生かしながら、日射などの問題を解決し、さらにインテリアデザインにも彩りや意匠性を与えてくれる存在として、ブラインドやロールスクリーンの需要は高い。

1941年に創業した、ブラインドと間仕切りの総合メーカー「ニチベイ」は、その歴史のなかで多様な空間の窓辺や、パーティションを手掛けてきた実績を持つ業界のトップランナーだ。同社の商品の特徴は、さまざまな空間のスケール、用途や機能性、意匠を始めとするデザイン面でのバリエーションがある。そして、多くの施主や設計者たちとプロジェクトを手掛けてきたノウハウと対応力が支持されている理由だろう。

ここ「まちやま」に採用されたのは、同社の主力商品のひとつのロールスクリーン「ソフィー」。住宅から店舗、商業施設などの多様なインテリアでの利用を想定したデザインラインアップに加え、電動制御などやリモートコントロールといったさまざまな操作性も特徴のシリーズだ。

マイコン内蔵「ソフィー テクノタイプ」は、インテリジェンスビルを始めとするさまざまな空間において活用しやすい機能とデザインバリエーションを持つ商品

なかでも「ソフィー テクノタイプ」は、マイコン内蔵により、自動制御システムのほか、ビル側の管理システムと連動したコントロールが可能で、大型のビル空間、オフィス、ホテルやレストランなどで活躍する。
例えば、働き方が変化し、フリーアドレスのデスクや、フレキシブルな空間の使い方を取り入れているオフィスにおいては、デスクのレイアウトや用途によって、外光の調節、空調や照明器具と連動した昇降が重要になる。

また、ラグジュアリーホテルにおいても、ロビーラウンジやメインダイニング、また客室など、滞在時間を特別なものにするための手法として、外の風景や光を生かした空間デザインはポイントであり、空間のテーマや利用者のニーズに合わせてダイナミックにそれらをコントロールできるロールスクリーンは、体験価値を向上させるために重要な存在と言える。

デザイン性と機能性の両立

新潟県三条市のまちづくり、市民活動の拠点として注目される複合施設「まちやま」

2022年7月に開設された、新潟県三条市の複合施設「まちやま」では、この「ソフィー テクノタイプ」が導入された。「まちやま」は、廃校となった小学校跡地に、図書館やミュージアムの他、街の人々が多目的な活動に利用できるよう計画された施設。総合設計を、国内外で活躍する建築家・隈研吾氏が率いる隈研吾建築都市設計事務所が務め、これからのまちづくりの新しいモデルの一つとして注目を集めている。隈研吾建築都市設計事務所の山嵜健志氏は、ニチベイの商品を導入した経緯について次のように語る。

「ニチベイさんには設計段階からバリエーション豊かな生地の提案や、制御部の納まりについて設計協力をいただきました。この施設は、図書館と鍛冶ミュージアム、科学教育センターの複合施設であるため、静寂さと賑やかさを両立した建物づくりが求められ、同時に周辺地域のにぎわいを生む拠点という役割も期待されています。そういった理由から建物内に明るく開放的な空間をつくり、かつ内部の賑わいを外に伝えるよう、大きな窓を持つまちに開かれた建築になっています。その窓辺に調和するデザインや機能性を持つ商品として『ソフィー』を採用しています」

「まちやま」の開架エリアの開口部周りでは、本にダメージを与えない遮光性と、心地よい空間づくりのための視線の抜けという細やかなバランスのロールスクリーンが求められた

図書館の開架エリアは、大きな窓を持つものの、図書館として蔵書への直射日光を避けるためにロールスクリーンは必須となる。また、ロールスクリーンが降りた状態であっても、内部から外の景色が感じられ、かつ外観上も建物に馴染むよう、ダークカラーのシアータイプのロールスクリーンが導入されている。その他、会議室やサイエンスラボ(理科実験室)といった個室では、軽快に昇降操作できるチェーン式のロールスクリーンが採用された。生地は最大幅2700㎜まで対応可能で、ざっくりとした織りと光沢感が特徴の「ラフィー」シリーズ。全24色の豊富なカラーラインアップで、部屋ごとに異なるアクセントウォールに対応した。

「まちやま」の個室や会議室では、部屋ごとに異なるカラーが用いられており、そのデザインに合わせたロールスクリーンの生地が選定された

他方で、同施設では、施設の利用目的が多岐にわたり、また広い面積の空間が多かったため、用途に応じて簡単かつ自在にロールスクリーンの開閉をコントロールできる商品が求められた。また、大きな吹き抜けに設置されたロールスクリーンは、人の手が届かない場所に設置されるため、電子制御に加えて、耐久性を始めとする商品の安全性・メンテナンス性も重要になる。大きなスクリーンの生地は、施設内の空調による揺れや日射によって、ヨレや退色といった劣化リスクに晒される。そういった環境において、いかに長い期間、同じ品質を保つことができるかは、空間デザインの質の維持と運営側への負担軽減に関係してくる。
「ソフィー」を始め、ニチベイの商品は、用途や環境に合わせて選べる多様なスクリーンの素材を用意しており、空間に合わせて最適なスペックのものを選ぶことができるのも大きい。また、耐久性だけでなく、近年の需要に応える抗菌・抗ウイルス加工が施された生地や、防炎性能を持ちながら天然素材の質感を表現したものなど、数百種類のバリエーションも魅力と言えるだろう。

イベントホールなどでは複数のロールスクリーンを一括で制御できるシステムが求められる

これら商品の性能やラインアップに加え、特注対応ができるのも同社の特徴。例えば、海外ブランドのホテルが日本に出店する際に、グローバルで一貫したテイストを求めるケースはよくあるが、ロールスクリーンなどの生地にもそれは当てはまる。そういった場面では、海外から生地を輸入したり、特注色に仕上げることも行うという。
デザインのニーズが多様化、細分化する空間づくりにおいて、それらに対応する商品のバリエーションと機能性、クオリティーと、総合メーカーとしてさまざまな現場で培ってきたニチベイの対応力は、新しい空間の体験価値の醸成を後押しする存在になってくれるはずだ。

撮影/内観:大崎晶子 外観:船来洋志
この記事は、商店建築社が運営するウェブメディアid+(インテリア デザイン プラス)に掲載された原稿を再構成したものです。