
ポイントは“窓まわり”
猫も人も心地よいインテリアのつくり方
ここ数年、猫を飼う方が増えてきています。猫は日々の暮らしに癒しを与えてくれる存在ですが、カーテンが破れたり、壁が汚れてしまったりと、おしゃれなインテリアを諦めたというお宅も少なくありません。
今回は、ペットがいるお宅を多く手がける「Comfort」代表の迫間美香さんに、猫も人も心地よいインテリアのつくり方について教えていただきました。
最初から最後まで責任を持って携わりたい
まず、迫間さんの仕事について教えてください。
- フリーランスのインテリアコーディネーターをしています。一般のお客さまをはじめ、住宅メーカーさまからのご依頼を承っています。業務内容はインテリア全般のカラーコーディネーションもあれば、窓まわりや照明プランなどさまざま。お客さまに合わせてご対応しています。
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私は大学卒業後、ハウスメーカーのインテリアコーディネーターとして10年間勤務しておりました。その後、もっと幅広いインテリアを提案したいと、地元のインテリアショップに転職。窓まわりや壁紙などの内装を担当していましたが、家づくりの一部分にしか関われないことに、ずっとジレンマがあって……。
最初から最後まで責任を持ってご対応したいと思いが強くなり、13年前に独立しました。すべて自分でやらなければならず大変ですが、とてもやりがいがあります。
実体験を交えて、お客さまに“生きた情報”をお伝えしていく

インテリアプランを提案する際に心がけていることは何ですか?
お客さまより先に潜在的な希望に気づくのが、インテリアコーディネーターの仕事だと思っています。「〜したいです」と言われる前に、こちらから提案していけるように心がけています。
そのためには、ヒアリングと情報収集は欠かせません。お客さまがお気に召すのはもちろん、快適に過ごしていただけるように、メリット・デメリット、メンテナンスなどの説明をしっかり行っています。
また、なるべく実体験もお伝えするようにしています。たとえば、今まで自宅の寝室にプリーツスクリーンとドレープカーテンを使用していましたが、冬は非常に寒くて困っていたんです。そこで、断熱性の高いハニカムスクリーンに替えたところ、驚くほど部屋が暖かくなって。お客さまは自宅でお試しができないので、そういった実体験をお話すると、提案を受け入れていただきやすいですね。

愛猫家だからこそ『猫と快適に暮らす家』が提案できる

猫がいるお宅のご依頼が多いと伺いましたが、何かきっかけがあったのでしょうか?
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取材班をお出迎えしてくれた長男坊のリキくん
- 私自身も11年前から猫を飼っています。もともとペットを飼うつもりはなかったのですが、縁あって、友人宅で生まれた子を我が家に迎えることになりました。飼ってみると、まあかわいくて(笑)今では4匹の猫たちと暮らしています。
インテリアに携わっている身としては、猫たちにとっても、私たち人間にとっても心地よく過ごせる家にしたいなと。それで、内装材や家具などを調べたり、購入して自宅で実際に試したりして、良かったものはお客さまにおすすめしています。お客さまからも色々なお話を伺えるので、ノウハウが蓄積していけたのかなと思います。
ここ数年で猫の飼育率が増加傾向にあり、愛猫家の方からのご依頼が増えています。ブログやSNSでもペットインテリアについて発信していたこともあり、実際に担当させていただく約60~70%のお客さまが猫を飼っている方です。
猫の性格や行動、習性を知ることが何よりも大切

猫と暮らすインテリアを考えるうえで、大事なことは何ですか?
まずは猫の居場所をあらかじめ考えておくことです。人が過ごすプランにプラスして、猫がどのように動くのか、どう使うのかなどを盛り込む必要があります。人間の動きだけでプランニングしてしまうと、お互いにストレスを抱えかねません。猫の性格や普段の行動をヒアリングして、寝る場所、食事の場所、排泄する場所、遊ぶ場所を決めていきます。あと、猫は毎日居場所が変わるため、居心地の良さそうな場所をいくつか用意しておくのもポイントですね。
猫は繊細で、環境の変化が苦手です。新築やリフォームの際には、ベッドやタオル、爪研ぎをする場所など、今まで慣れ親しんだものをプランに盛り込むようにしています。
猫の習性を勉強するのも大事です。たとえば、爪研ぎはマーキングの一種で、自分の匂いをつけて安心する場所をつくるために行われています。
傷をつけられたくない場所がある場合は、最初にこちらが用意した爪研ぎ場に誘導し、軽く手を添えて爪研ぎを促します。匂いがつくので、次からはそこで爪を研いでくれるんですよ。習性を知ることは、猫と一緒に暮らす上でとても大切です。
ほんの少しの工夫で、猫も人も居心地がよい窓まわりに

猫がいるご家庭で、窓まわり商品を選ぶときのポイントを教えてください。
窓まわりのアイテムはペットの有無問わず、家族構成、家事動線、プライバシーなど、色々な観点から選定していきます。
ただし、猫を飼っているお宅は、素材や仕様選びは慎重に行いましょう。カーテンであれば、爪が引っかかってもほつれにくい麻素材が適しています。
たて型ブラインドならば、猫が絡まってケガをしないように、下のコード(スペーサーコード)を外しておくと安全です。あと、表面がツルツルしたガラス繊維の生地なら、毛がつきにくく、拭き掃除もしやすいですよ。
飼い猫は表には出ませんが、必ず外の様子をパトロールします。いつでも外が眺められるように、ハニカムスクリーンやブラインドなどの上下に開閉するアイテムを選んであげるとよいですね。
猫に限らず、ペットを飼っていると、どうしても裾の部分が汚れやすくなります。少し上げておくだけで、キレイな状態をキープできます。
メカモノを選ぶ際は、操作部分が輪になっていない操作方式がおすすめです。猫が遊んでしまったり、ケガしたりする心配もありません。
ほんの少しの工夫で、猫にとっても、人にとっても居心地が良い空間がつくれますよ。ペットに対応しつつ、自分好みのインテリアを完成させていただけたらなと思います。
- 迫間美香(はさまみか)さん 「Comfort」主宰。猫と快適に暮らす空間づくりを得意とする。自身も4匹の猫と暮らす愛猫家。インテリアコーディネーター、窓装飾プランナー、空間デザイン心理士®プロ、二級建築士などの資格を保有。
Written by なるほどブラインド編集部
2023.10.26 公開