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伝統建築技法とプリーツスクリーンが作り出す
人にも環境にも心地よい住宅

住宅街を歩いていると、一際大きい軒があるお宅が見えてきます。ここは建築家の杉本龍彦さんが設計した「紅葉丘の家」。日本の気候風土や住環境に配慮し、屋根の形状や窓の配置、しつらえにこだわられた住宅です。
快適な住環境にすべく、窓にはプリーツスクリーンとハニカムスクリーンを採用。光や風、視線をコントロールして、より心地よい空間に仕上げています。
今回は杉本さんに「紅葉丘の家」を案内していただきながら、設計のこだわりや窓まわりについてお話を伺いました。

日本の気候風土に調和する大きな勾配の屋根



「紅葉丘の家」の特徴はなんと言っても方形屋根(ほうぎょうやね)です。1つの頂点から四方に向かって同じ角度で傾斜した形状の屋根で、軒のラインを4方向ともキレイに揃えられるメリットがあります。

古来より木造建築技術に秀でた日本では、方形屋根以外にも切妻・入母屋・寄棟屋根など多種多様で美しい屋根形態を生み出しました。しかし、現代の都市部では高さ関係の規制が厳しく、部分的に屋根を低くするなどの対応に迫られて、いびつな形状の屋根になりがちです。


  • 「日本の気候風土に調和する自然な形にしたかったので、階高(かいだか)を緻密に設定して方形屋根のプロポーションを維持しました。軒の出を注意深く設計することで、壁と窓を雨風から守るだけではなく、夏季は日射を遮蔽できます。また、太陽高度の下がる冬季は陽射しを室内に採り入れられます。」
  • 住まいの美しさと住環境、住まい手の健康に配慮した住宅を手がける杉本さん

屋根の上の部分は伝統的な養蚕民家からインスピレーションを得て設計されています。養蚕民家では、蚕の生育に必要な採光と通風を確保するため、屋根の一部を力強くめくり上げた形(タカハッポウと呼ばれる)で窓を設けられたものがあります。

「民家は1/2以上が屋根ですから、屋根の在り方で建物の内部空間と外観のイメージが大きく左右されます。養蚕民家のタカハッポウと、その窓は茅葺と一体化した造りです。
そこで、この家のタカハッポウ部も屋根材と同素材を張り、屋根の一部として表現しました。さらに、軒先が野暮ったく見えないよう、屋根を鋭角に折り曲げたデザインにしたので、シャープな見た目になりました。」

民家の蔵”をイメージした心が安らぐ寝室



ご夫婦と3人のお子さんの5人家族がお住まいの「紅葉丘の家」。玄関を入って正面に家族5人の寝室があります。民家の蔵をイメージした寝室は、柱を均一に並べ、柱と柱の間に5人分の衣類や布団をしまえる大容量の作り付け収納をしつらえました。鴨居や窓枠、収納の上端をすべて同じ高さにし、均整のとれた空間に仕上げています。杉本さんいわく、柱や梁の造作の間隔やラインに良いリズムがあると、心理的に美しさを感じるそうです。

窓には和紙調のプリーツスクリーンが配され、通行人の視線を遮りつつ、庭のシマトリコや紅葉、トサミズキなどが眺められます。プリーツスクリーンの生地越しに浮かび上がる木々は、まるで水墨画のようです。上下透け感の異なる生地を組み合わせた「ツインスタイル」で、自然の見え方が変化するのも楽しみのひとつです。


  • 自然の移ろいを身近に感じられる窓辺
  • 落水という和紙の伝統技法を用いて作られた生地「利休」

「軒や植栽である程度は住環境をコントロールできますが、通行人や隣家からの視線は防ぎきれません。そういった時に効果を発揮するのがプリーツスクリーンです。スクリーンが上下に動くので、外からの視線を遮りながらも、上部から光を採り入れられます。あるいは、地窓のように下部だけを開けて庭を望めます。生地の配分次第で、窓の選択肢が増えるところが良いですね。プリーツスクリーンが無くては設計できないかもというくらい重宝しています。」


  • 上部だけシースルー生地にすると、通行人の視線を遮りながら室内に光を導く
  • ヘッドボックスがコンパクトな「コード式」を採用して、窓枠になじませている

2つの様式が交わるおおらかなリビング



階段を上がると、ダイナミックな木組みの天井が印象的なリビングが広がっています。「広い部屋にしたい」といったお施主さまの希望を叶えるべく、天井の中心にかぶら束を用いて、垂直方向の部材がない開放感のある空間に仕上げました。

家族が長い時間を過ごす場所だからこそ、おおらかな空間を目指したと語る杉本さん。白色が持つ“人の意識があまり向かない”という性質を活かし、1階よりも柱のスパンを広げ、白い壁の面積を増やして躯体の存在感を薄めています。
窓辺にはアップダウンスタイルのプリーツスクリーンを採用し、隣家からの視線をカットしながら光と風、そして空を望めるようにしました。


  • 上部と下部が開口する「アップダウンスタイル」
  • 木をふんだんに使われた空間と相性が良い和紙調生地「えにし」

「リビングはお客さまがいらっしゃる場所なので、しつらえのある書院造りを、吹き抜けからお子さんたちの遊び場であるロフトは数寄屋や茶室をイメージしています。格式高い場所から遊びの場所へと徐々に変化していく……。2種類の異なる伝統様式を踏襲しつつ進化させたら、おもしろい空間が展開するのではないかと考えて設計しました。」

街を見渡せるツリーハウスのようなロフト



リビングの上にあるロフトはお子さんたちのお気に入りの場所です。見晴らしが良く、風も抜けるため、ツリーハウスにいるかのような気分を味わえます。

屋根の形状が室内側に表れているのも「紅葉丘の家」の特徴です。ロフトに上がると、屋根の木組みを間近で見られます。この住宅を施工したのは伝統建築を手がける工務店。屋根の架構は棟梁が手刻み(のこぎりやノミなどを使って加工すること)しました。ロフトの手摺りやダイニングテーブルにも伝統建築の知恵や技法が凝縮されています。

「伝統建築の技術は接合部に魅力が宿っています。手摺りの部分は貫とくさびで接合しています。このようなディティールにしなくても良いのですが、棟梁の技量や伝統建築の歴史を継承したくてお願いしました。
手摺りの加工は棟梁に教わりながら、お施主さまのお子さんが施工したんですよ。お施主さまも一緒に家づくりに参加することで、ご家族にとって、よりかけがえのない家が生まれていくと思っています。」

ロフトにはエアコンが付いていないため、断熱性能の高いハニカムスクリーンを設置しています。ハニカムスクリーンは、断面が蜂の巣状の空気層がある立体構造のスクリーンで、夏の暑さや冬の寒さをカットし、一年中快適な室温に保ちます。


  • リビングのプリーツスクリーンと光の透過具合がリンクしている
  • 蜂の巣状のセルが縦に連なるハニカムスクリーン

住まいにとってブラインドは欠かせない存在



窓についての書籍を執筆するほど、窓辺の設計にこだわられている杉本さん。住まいとって、窓やブラインドはどのような存在か伺いしました。

「窓辺は、街や四季、光などの外部環境とお住まいになる内部環境の境界になる大切な場所です。私はその窓でどのように環境をコントロールするのかを重視して設計しています。
具体的には夏季は日射を遮蔽し、冬は陽射しを導けるように窓の場所や配置、大きさを決めていく。さらに、建物の外部であれば軒、内部であればブラインドやスクリーンを用いて、より住みやすい住環境へと整えていきます。窓やブラインドは、固定される建物本体と異なり、可動する偉大な環境調整機能を有しているのです。

ブラインドは光や視線を調節する機能性とインテリア性も合わせ持っています。この2点は窓辺を考える上で、とても重要な要素。だからこそ、住まいにとってブラインドは欠かせない存在です。
ニチベイさんは生地や操作方式の選択肢も多く、設計の幅が広がるので助かっています。今後もお施主さまや建築に合わせた窓まわりアイテムを提案していきたいですね。」

まとめ

異常な暑さになったり、隣家との距離が近かったり、光熱費が上がったりと暮らしにくさを感じる現代。自然や周辺環境との付き合い方を見直すと、快適な住まいへと変わりますよ。
日本の気候風土に適した伝統建築とブラインドで、「暮らしやすい家」を作ってみませんか。

  • 杉本龍彦さん 「杉本龍彦建築設計」主宰。日本の自然や風土から生まれた伝統建築を現代の暮らしに融合させた建築を数多く設計。東京建築士会環境委員会委員、専門学校講師を兼任。共著書に「窓がわかる本 設計のアイデア32」「建築用語図鑑 アジア篇」など多数。

Photo by Akiko Osaki/written by なるほどブラインド編集部

2023.4.24 公開

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