
人気建築家に聞く
暮らしが楽しくなる“窓まわりアイテム”の選び方
窓は採光、通風、眺望の役割を担っており、居住空間において重要なエレメントです。さらに、その環境に適した窓まわりアイテムを選べるかどうかで暮らしの質が大きく変わります。
そこで今回は、普段からお施主さんに環境や用途に応じて窓まわりの提案をされている建築家の堀泰彰(ディンプル建築設計事務所主宰)さんにお話を伺ってきました。
鎌倉の自然豊かな地に建つD邸
今回お話を伺った場所は、堀さんが設計したD邸。Dさんは都心のマンションにお住まいでしたが、リモートワークが増えたのを機に自然豊かな鎌倉に移住することに。材木座海岸からほど近い築40年の一軒家をリノベーションし、ご夫婦とお子さん2人の4人で暮らしています。
- 「ほぼスケルトンにして、プランを作成しました。建物の周囲にゆとりがあり、自然が感じられる土地でしたので、吹き抜けやテラスを設けて平面的な広がりと垂直方向への伸びやかさを意識した構成にしています。
内装は既存の梁や柱を見せたり、新設した壁の仕上げにラワン合板を選んだりと木の表情を楽しめるようにしました。全て木だと重い印象になってしまうため、天井だけは白く塗装して抜け感を出しています。」 -
建築家の堀泰彰さん
プライバシーを守りつつ、外が感じられる室内に

2階の吹き抜けの窓から光が降り注ぐ心地よいLDK。堀さんがデザインしたキッチンに接した壁には、オーナーの奥さまがセレクトした三角形のタイルが配されています。
ディテールにこだわり、窓枠を壁と一体化した開口部にはニチベイのロールスクリーン「ソフィー」を設置しました。
「木の壁やキッチンのタイルなど表情がある素材が多いため、プレーンで他の家具とも相性が良いロールスクリーンをご提案しました。スクリーンを降ろした状態でも外の気配が感じられるように、透け感のある生地を選んでいます。」
先日、2人目のお子さんが産まれたばかりのD邸。安全性を考慮し、スマートコード式を採用したそうです。
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「スマートコード式」で小さなお子さんのいる家庭に安心安全を
- スマートコード式は、「誰もが安心して使えるものをつくりたい」という想いから開発された操作方式。操作コードがループ状になっておらず、お子さんがいる場所でも安心して使えます。
その上、操作コードが高い位置にあり、小さなお子さんの手に触れる心配がありません。その高い安全性からグッドデザイン賞とキッズデザイン賞を受賞しました。
「操作がとても簡単で、すぐに操作ができました。スクリーンが急に降りてこないのも安心ですね。」とDさん。
スマートコード式はコードを引いた分だけスクリーンが下降します。スクリーンが勢いよく降りず、小さいお子さんがスクリーンの真下にいても衝突する心配がありません。反対にコードを少し引くだけで、自動的にスクリーンが上がります。
また、スマートコード式には「ダブルブレーキ機構」を搭載しています。最後の巻き上げのタイミングになると、ブレーキをかけながらゆっくりとスクリーンを格納。部品同士が干渉する音が気になりません。
内と外をつなぐ内窓が光と広がりをもたらす

2階のワークスペースの吹き抜け部分には内窓を設置。窓にしたことで、光を取り入れるだけでなく、外とのつながりも感じられる開放的な空間になっています。
「内窓は隣接する窓と高さを合わせて、水平方向へ広がるように設計しています。窓枠にラワン合板を使用しているので、色味と素材が近いウッドブラインドを選びました。」
お子さんたちがこの部屋で遊ぶことも想定し、スラット(はね)とボトムレールの角を丸くしたラウンドエッジスラット・ボトムレール仕様を採用。また、コードクリップでコードを束ねて、お子さんたちがコードに触れないように配慮しています。
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柔和な印象になるラウンドエッジスラット・ボトムレール仕様
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操作時以外はコードを上の方で束ねておくと安心
操作方式は重みのあるウッドブラインドでも軽快に操作できるループコード式を選択。ヘッドボックス内に昇降をアシストする部品が入っており、操作時に感じる重さを軽減します。
外からの視線を遮り、家族だけの安らぎの空間に

建具がなく、廊下やワークスペースが一体となった寝室。シンプルながらも梁や天井材が空間に温かみを添えています。
隣家と距離が近いため、寝室の窓には視線のコントロールと調光機能を併せ持つスタイルブラインド「クオラ」を取り付けました。ラダーテープの色はご主人のセレクトだそうです。
「サッシのカラーに合わせて黒を選びました。他がシンプルなので、いいアクセントになっていますよね。とても気に入っています。」とうれしそうに語るDさん。
ラダーテープにはインテリアのアクセントになるだけでなく、スラットのコード穴からの光漏れを防ぐ効果も。朝方も光を気にすることなく、ぐっすりと眠れます。
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ラダーテープで昇降コード穴からの光をガード
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全閉時光漏れが気にならない
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コードを引っ張るだけで高さ調節ができる
※高さを伸ばすことはできません - 「クオラ」には全てのタイプに高さ調節機能がついており、取り付けたままの状態で約−3cmまで調整可能※です。窓枠や床面ぴったりに納められ、より洗練された窓辺を演出します。
暮らしをより楽しめる“窓まわりアイテムの選び方”
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- ブラインドやロールスクリーンなどの“メカモノ”の選定は難しいと感じる方が多いようです。窓まわりの知識がない場合、どのような点を意識して選択すれば良いのでしょうか。堀さんに窓まわりアイテムの選び方のコツを教えて頂きました。
「そのアイテムを取り付けたらどのような暮らしになるのかなと想像を膨らませてみるといいと思います。場所によって適した商品が異なるので、一ヶ所ずつイメージしてみてください。
室内を見せないように遮光生地を選ぶ方が多いですが、私は外の様子がぼんやり感じられる位の透け感の生地をおすすめしています。隠すよりも積極的に外の雰囲気を取り入れた方が、空間にさまざまな表情が出て楽しいですよ。」
まとめ
photo by Akiko Osaki/written by
なるほどブラインド編集部
2024.06.14 更新
窓まわりアイテムを選ぶコツは“設置した時の暮らしを想像すること”です。さらに光や景観を意識すると、より魅力的な住まいになりますよ。
ブラインドやロールスクリーンを上手に活用して、プライバシーを守りつつ、季節の移ろいを楽しまれてはいかがでしょうか。