“見せ方”と“納め方”。
窓まわりのしつらえで空間はもっと美しくなる
光と陰影を生み、素材の表情をそっと引き出す窓まわりは、“見せ方”と“納め方”によって空間の完成度が大きく変わります。
「自邸では窓まわりに丁寧に向き合いました」。そう語るのは、住環境デザイナーの柳澤さん。
今回は完成したばかりの新居を訪ね、住まいを美しく見せるしつらえの工夫をうかがいました。
空間を完成させるのは、窓まわりのしつらえ

ご主人とともに考えたコンセプトは、「現代の和」。和室こそないものの、住まいの随所に和の美意識がそっと息づいています。ホタテの貝殻を原材料にした漆喰や無垢のフローリングなど、“本物”の素材にこだわりました。
「人工的な素材は、経年変化というよりも経年劣化してしまいます。自然素材であればリペアしながら長く使い続けられますし、色や質感が変わっていく様子も楽しめます」
予算の都合で窓まわりまで手が回らなかった家を数多く見てきた経験から、「自分の家は窓まわりまできちんとつくり込みたい」という思いが強かったといいます。
- 「窓まわりは空間の締めになる部分です。だからこそ、見え方と納め方を大切にしたいと思いました」
新居では窓まわりアイテムの納め方を見極め、空間にすっとなじむ仕上がりにしています。 -
工務店、リノベーション会社での経験を活かし、住環境デザイナーとして活躍されている柳澤さん
現代の和に調和する、ハニカムスクリーンの端正な陰影

柳澤邸でひときわ存在感を放っているのが、ハニカムスクリーンです。「現代の和」に自然と溶け込み、光をやわらかく広げてくれます。断熱性の高さも決め手となり、リビングやヌック、寝室などに取り入れました。
「水平に流れるラインと光をやわらかく拡散する不織布が、和の雰囲気に合いますね。直射日光を受けた際に生まれる陰影も美しく、空間の表情が豊かになります」
- 雪見障子のように周囲の視線を遮りつつ、庭を楽しめるのも魅力。リビングの掃き出し窓は、あえて窓枠を木材にして額縁に見立て、ハニカムスクリーンを引き立たせました。
夜はスクリーンを半分だけ下ろし、ライトアップした庭を眺めながらご主人とお茶を飲んで、一日の疲れを癒しているそうです。 -
外光を受けて陰影が浮かび上がるハニカムスクリーン「レフィーナ」。木枠に合わせた部品色も上品に調和している
こうした見た目の美しさだけでなく、使い勝手のよさもお気に入りだとか。
「チェーンを一度引くだけでスクリーンが大きく上がりますし、下りるときもゆっくり自動で下がるので、操作のストレスがありません。一番下まで下ろしても大きな音がせず、気持ちよく使えています」
電動ロールスクリーンで整える、“長く使い続けられる窓まわり”

リビングの吹き抜けにある東面と南面の高窓からは、たっぷりの光が室内に注ぎます。窓枠の内側には、暑さ対策とプロジェクター使用時の遮光を兼ねて電動のロールスクリーンを設置しました。
計画当初はコストを抑えるために手動のロールスクリーンを選んでいたものの、電気工事がはじまる直前に電動へ変更。窓のすぐそばで電源が確保でき、美しく納まりました。
「長い操作チェーンが常に視界に入るのは気になりそうで……。手動だと面倒だと感じて、いずれ使わなくなるかもしれないと思ったんです。それなら電動の方が、子どもでも気軽に操作できますし、長く使い続けられると考えました。
赤外線リモコンは向きによっては反応しないときもありますが、この電動ロールスクリーンはRF(電波式)仕様なので、離れていても操作できて便利です。開け閉めが本当にラクで、ハニカムスクリーンよりも動かしているかもしれません(笑)動作音がとても静かなのも気に入っています」
忙しい朝でもリモコンを押すだけで光をきちんと採り込めるので、気持ちよく一日をはじめられます。
お子さんもよく操作をしているそうで、「ロールスクリーンの下ろし具合に一番こだわっているのは子どもなんです」と柳澤さんは微笑みます。
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ロールスクリーン「ソフィー」のサイレント電動式は、RF仕様をチョイス。赤外線通信のような指向性がなくリモコン操作しやすい
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曇りの日でも、吹き抜けの高窓がリビングにやわらかな光を運ぶ。RFリモコンは最大約20mの範囲で操作可能(設置場所や電波環境によって異なる)
窓まわりアイテムを選ぶ基準は、“どう美しく見せたいか”

柳澤邸ではノイズのない美しい窓まわりを実現するため、ロールスクリーンとハニカムスクリーンといった“メカモノ”で統一しています。
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お子さんでも操作しやすい「コードレス式」採用。は生地に触れずに操作できるメカモノは、きれいな状態を保ちやすい
- 「以前の住まいではカーテンも使ってきましたが、どんなに明るい色を選んでも少し圧迫感がありました。その点、メカモノはシンプルな佇まいで空間によくなじみます。とくに、上げたときに窓まわりがすっきり見えるのが魅力です。現代の和で仕上げたわが家にもしっくりくると思い、メカモノで統一しました」
窓まわりを選ぶうえで何よりも大切なのは、“見え方と納め方”。窓のサイズや場所によって、印象も納まりも変わってくると柳澤さんは話します。
「窓によって最適な納まりは異なります。ブラインドボックスが付けられるなら理想的ですが、難しい場合でも天井付けや正面付けなど、どう納めるかによって見え方が変わります。
また、窓の高さによっては、スクリーンを上げたときの“たたみ代”が窓を大きく覆ってしまうこともあります。下ろしっぱなしなら問題ありませんが、景色を楽しみたい窓であれば、納め方の工夫が欠かせません。その窓をどう見せたいか。そこを丁寧に考えると、洗練された仕上がりになりますよ」
光や陰影がゆらぎ、暮らしに豊かな表情を添えてくれる窓まわり。
“見え方”と“納め方”まで心を配ることで、住まいの完成度がさらに高まっていきます。





Photo by Akiko Osaki/Written by Naoko Hashiguchi
2025.12.25 公開